未来の水素社会を支える

ティッセンクルップのアルカリ水電解技術

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未来の水素社会を支える ティッセンクルップ

水素は貯蔵や運搬、化学品の原料として最適

1. クリーンエネルギーによる水素製造技術

Green hydrogen

1.1 未来の水素社会を支える水素製造技術

水素は石油製品或いは石油化学製品、肥料、半導体、ガラス及び食品油などの製造などのような従来用途のみならず、エネルギーの変換、貯蔵、輸送や燃料電池など、新用途の開拓が積極的に検討されています。また、水素として使用するだけではなく、エネルギーの輸送や再生可能エネルギーなどの変動の大きい一次エネルギーの長時間の貯蔵等にも適しており、エネルギーを水素に変換することで生産地から離れた消費地へのエネルギー輸送が可能となることから、様々な実証プロジェクトが進められています。

水素は燃焼や反応においてCO2を生成しない特性を持つため、環境に優しいクリーンなエネルギーとしても注目され、近い将来では化石燃料に変わるものとして期待されています。水素は、天然ガス、石炭及び石油などの化石燃料から作る方法が一般的ですが、製造過程でCO2が発生するため、将来的にCO2のような地球温暖化ガスを排出しない環境にやさしい製造方法が求められています。クリーンな水素製造方法として、バイオマスからの製造や、化学工場で発生する副生水素などの活用も進められています。

私たちの生活や生産活動を支えるインフラとして電力は最も重要と言える媒体ですが、大規模災害などの非常時や電力インフラが整っていない場所のために大きな容量の電気を貯めたり輸送したりする技術は未だ確立されていません。その代わりとして電気を水素という形に変えて貯蔵や輸送する方法は、近年、技術革新によって実用化が進んでおり、水素は私たちの身近な物になりつつあります。

電力から水素を作り出す一つの方法として水電解法があります。水と電力さえあれば、既存設備にほとんど左右されることなく比較的容易に設備を導入することが可能な上、高効率で純度の良い水素を製造することができます。その中でもアルカリ水電解法は大規模かつ量産に向いており、様々な使用環境に適応しやすい技術とされています。

既存電力インフラの余剰電力によって水素を得る水電解設備の技術は既に実用域に達しており、再生可能エネルギーで作られた電力を用いた運転においても商業化が始まっています。再生可能エネルギーによる電力は、気象条件に左右されやすいなど不安定であり、場合によっては断続的であることもあるため、得られた電力によって水素を製造して、これを貯蔵設備で貯めて必要なときに必要な分だけ消費或いは輸送する水素インフラの構築でも、アルカリ水電解はその水素製造において極めて有効な技術とされています。

再生可能エネルギーを利用した方法によって製造された水素はグリーン水素とも呼ばれ、化石燃料に依存した従来の水素製造設備による水素を、このグリーン水素に置き換えることは環境負荷の低減に貢献することから世界中で着目されるようになってきました。

当社では、再生可能エネルギーを使った工業規模の水素製造を可能にするため、コスト的に優位であり量産に適した大型のアルカリ水電解技術を開発し、実用化に向け積極的に取り組んでいます。

1.2 水素製造技術で排ガスを化学原材料へ

エネルギー、産業および運輸部門から排出される温室効果ガスが全排出量の大部分を占めており、特に、製鉄所は二酸化炭素、窒素、一酸化炭素などを大量に排出しています。これらの排出ガスは、工場内で燃焼処理し、その排熱や発電された電気を製鉄所内で再利用していますが、これが更なる二酸化炭素排出の原因となっています。

そこで排出ガスを単に電気と熱として利用するのではなく、アンモニア、尿素、メタノールなどの肥料系の基礎化学品の原料として利用することが求められています。また、これらの排ガスを用いて化学品原料を製造するために必要な水素については、二酸化炭素を排出しない水電解などの方法で大量に生産する必要があります。当社のアルカリ水電解技術は、クリーンエネルギーの電力によってカーボンフリーの水素を製造することができるため、温室効果ガスの大幅な排出削減に寄与します。

1.3 クリーンエネルギーとして期待される水素

現在世界で消費されている水素の4%は、主に食塩電解プラントから製造されています。当社は食塩電解プラントで世界の50%のシェアを有しており、水素を大量に製造する技術について多くの実績を持っています(食塩電解では、塩素と当量の水素が、陰極からが生成されます)。今後、食塩電解の技術を基に開発した水電解による二酸化炭素フリーの水素は増々期待されています。

1.4 工業規模の水素製造クリーンエネルギーにおいて重要な役割を担う水素

当グループでは、アンモニア、メタノール、SNG(合成天然ガス)、肥料を含む多様な化学品の生産から、プラスチック、バイオプラスチック、その他の下流分野に至るまで幅広い分野での事業を展開しています。さらに、当社ではこれらすべてのバリューチェーンにおいて、完全にCO2 フリーで持続可能なソリューションを提供いたします。例えば、再生可能エネルギー、水電解による水素、空気中に含まれる窒素から製造する「グリーンアンモニア」はCO2 を発生させない持続可能な化学合成方法として、世界的に高い評価を得ています。

2. 当社のアルカリ水電解技術

より優れた電力からの水素製造技術

2.1水素で持続可能な社会をつくる

化学プラントにおいて必要な水素および酸素を継続的に生産するためには、初期投資および運転時のコスト削減が不可欠です。当社では、電力の需給バランスや電気代等を考慮したTCO(Total Cost of Ownership)を算出し、お客様と一緒に、設備投資と運転コストを最小限に抑える最適な仕様及び運転条件について検討させていただきます。

2.2 豊富な電解技術の実績

当社は、大規模電解プラントの電解槽サプライヤーとして世界No.1シェアを誇ります。中核をなす優れた電解技術は、20万件を超える電解槽の製造及び600件以上のプラント建設実績において実証されています。水電解装置については、確立された食塩電解技術および設計がベースになっています。これまでの技術やサービスの経験をもとに、設計、調達、建設に至るまで、お客様のニーズに合わせた最適なサービスを提供致します。

2.3高性能の水電解水素製造技術

水電解水素製造技術として、アルカリ型、固体高分子膜型、高温水蒸気電解型などの技術が開発されています。当社の技術であるアルカリ水電解は、最も成熟した技術であり、アルカリ水溶液(KOH)によって電解が行われるため、低温、低圧力下で安定的に高純度のガスを製造することができます。また、固体高分子型のように大量の白金触媒を使用する必要がないため、投資コストが小さく、且つ、セルエレメント1枚当たりの有効電解面積が大きいため、水素生産量当たりの設備専有面積を小さくすることが可能です。余剰電力など安価な電気を利用することで運転コストも低く抑えることが出来ます。

2.4 当社アルカリ水電解モジュールのメリット/特徴

  • 設備投資を最小限に抑える仕様
    高電流密度で運転をすることが可能な電解槽であるため、セル数を少なくでき、設備投資(CAPEX)の低減に寄与します。

  • 据え付け面積の最小化
    セル数を少なくできる事により、据え付け面積の最小化を達成しています。

  • エネルギー変換効率の高い電解槽
    電極間距離をゼロとなる構造を有するため、電圧ロスを低減でき、高電解効率(HHV)を達成しています。

  • スキッドマウント型を採用
    モジュール式のスキッドマウント型で納入されるため、据え付け後の工事期間を短縮でき、スキッドの標準化によりコストダウンを達成しています。

  • 運転条件の変更に追随するフレキシブルな操作性
    様々な供給エネルギーに対応可能。 短時間の大きな電力量の変動に対応することができる電解槽です。

  • 高稼働率、高耐久性
    食塩電解プラントで確立された技術、構造、材料に基づき設計されており、高稼働率且つ高耐久性であることが特徴です。

  • 運転の自動化及びデータ取得システムの確立
    専用の制御システムによるリモート運転及び運転状況把握のためのデータ取得システムの提供が可能です。

  • EPC+サービス
    当社は、電解に特化したEPCコントラクターであり、単独でEPC+サービスの全ての要望に応えることができます。

2.5 アルカリ水電解装置の構成及びプロセス

一般的なアルカリ水電解の反応として、純水(H2O)を苛性カリ(KOH)が循環している電解槽ユニットの両極へ供給し、電解により陰極側で水素、陽極側で酸素を生成します。

アルカリ水電解の反応

Hydrogen value chains

当社のアルカリ水電解モジュールは変圧器・整流器と電解槽ユニットを組み合わせて構成されています。

電解槽ユニットは、電解槽の他に、電解液循環設備、水素処理設備、酸素処理設備を含めた形で構成されています。

電解槽ユニット当社は、アルカリ水電解モジュールの供給だけでなく、生成された水素ガス及び酸素ガスを要求に応じた品質や圧力にするため、水素ガス圧縮設備、水素ガス精製設備、及びガス貯槽等を含めたアルカリ水電解プラント設備の設計及び供給も可能です。

※詳細につきましては、『大規模電解による水素製造』 をご参照ください

3. アルカリ水電解技術の活用事例

Power to Xと言われる、余剰エネルギーを変換、貯蔵する技術の普及推進に水素ガスは重要な役割を果たします。再生可能エネルギーで発電した電力を使用して水を電気分解し、水素を生成、水素として貯蔵、使用することも出来ますし、更に、この水素を利用し二酸化炭素をメタンに、または、窒素をアンモニアに変換することも出来ます。当社では、将来のエネルギーシステムの根幹となる水素を生成する技術開発に精力的に取り組んでいます。

3.1 Carbon2Chem ® プロジェクト

当グループでは、2018年より再生可能エネルギー活用事業の一環である大規模プロジェクト「Carbon2Chem®」をドイツ政府の支援のもと様々な業界の企業と連携して進めています。 ドイツ、デュイスブルグにあるティッセンクルップの製鉄所内で、当社の水電解槽から製造した水素を、排出ガスからガス分離した高純度の二酸化炭素と反応させ、肥料や燃料を生産する実証試験を行っています。

3.2アルカリ水電解槽の開発及び革新

当社では電解技術の更なる技術革新を進めています。Carbon2Chem を使用した、高電流密度運転や高電解効率等に向けた実証試験を行っており、今後も継続してより高性能な技術を提供することをお約束いたします。

水電解は、ガラス製造、有機物の水素化、発電機冷却などの小規模産業向けの設備を中心に、世界中で数十年間利用されているプロセスです。特に、肥料の製造においては、原料となる水素の供給源がなく、電気料金が安価な場合においては、多く使用されてきました。

今後、様々な利用を目的にした再生可能エネルギーへの関心の高まりによって、水素はより重要な役割を担うことが期待されています。ティッセンクルップは、新しいエネルギー源との融合が可能な高性能の電解水素製造技術をご提供いたします。